「おや? 貴方は200階クラス経験者ですね? さすがの動きでした。180階までどうぞ」

「あ、いえ。ゆっくりいきたいんで50からでいいです」

どうも、 です。
さて、やってきました天空闘技場なわけですが…………実は僕、200階クラス経験者だったりします。
たしかジンに拾われて暫くしてからだったんですけど、もう金がないから暫くここで戦って稼いでろって言われて。
予想以上にすんなり200階までいけて暇になったんで暫く200階で戦って、ジンが迎えに来たところで4連続不戦敗して失格になっときました。
なんか負けて再挑戦だったらアリらしいんですけど、未登録は2回連続でやってしまうと挑戦権剥奪されちゃうらしいんで。
いや、だって結構稼げるところなんだから、ここでの挑戦権もっておけばいつでもいつまでも稼げるって事ですもんね。
だったら多少の苦労はしておいて損じゃないですから。
で、現状なんですが。

「なんだよ、 もここの経験者か」

も50階にしたんだ? じゃあ後はポンズだね」

キルアとゴンはすでに1階を数秒でクリアして、僕とポンズ待ち。
キルアは手刀、ゴンは張り手でそれぞれ一撃で決めてました。
僕も今、自分の相手を蹴り飛ばしてきたところで、後はポンズが……

「えぇいっ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?」

お〜……随分高く舞い上がったなぁ。

「あ、あんな可愛いのにあんなでかい奴投げ飛ばしやがった」

「し、信じられねぇ」

「やったっ! これで全員50階だね」

「当然だろ? ポンズだって試しの門クリアしてるんだから。 、ポンズ迎えにいってきてよ。さっさと50階いこーぜ」

「そうだね。じゃあエレベーターの前で待ってて。すぐいくから」

という訳でポンズも無事50階行き。
これから3人はここで修行を兼ねたお金稼ぎです。




…………ところで俺、ポンズに何教えればいいんだろ?












修行×順調?×予期せぬ再開













とキルアに言われたとおり、掴みかかってきた腕を捕まえて投げたら簡単に勝てました。
1階はレベルもマチマチって話は聞いてたんですけど……

「流石に相手の体格は腕とは関係ないよぅ」

……私、いつから人間の女の子辞めたんだっけ?
たしかハンター試験を受けてた時にはまだ普通の蜂使いだった気がするんだけど……
うぅ……周りの人の私を見る目が……

「ポンズ」

……あぁ、そうでした。
私この人の隣に立つって決心した時、普通の女の子辞める決心しちゃってたんでした。
なにせ最初の特訓が2トンの扉を押し開ける事だったし。

「お疲れ、ポンズ。とりあえず第一関門突破だね」

「ありがと 。でも自分でも不思議なの。力がついたのは試しの門で分かったんだけど、なんで私あんなに速く動けるのかしら?」

正直、最初相手がパンチしようと振りかぶった時は帽子を飛ばされるかもしれないと思ったくらいギリギリだと思ったのよね。
それなのに私余裕でしゃがめたし、相手の人は最後まで私の動きについて来れてなかったみたいだった。
大きな身体のわりに凄く速いと思ってたんだけど……

「あれ? ポンズ気付いてないの? 全部が重い部屋でずっとトレーニングしてたんだから、筋力がついたのが腕だけなわけないじゃない」

「……あぁ、そうか。そうよね」

「全体的にかなりレベルアップしてるはずだよ? 今ハンター試験を受けてもたぶん、今回くらいの相手なら合格できるはず。現時点で敵わないってはっきり言えるのはヒソカ、ギタラクル、ハンゾー、キルアと…「 もよね?」…まぁ、そうかな。それくらいだよ」

やっぱりそう。
私から見てもヒソカ、ギタラクル、そして の三人は他の受験者と比べて明らかに何か違ってた。
キルアとハンゾーも の言うとおり多分今の私でも敵わないだろうけど、でも二人も多分 達には敵わない。
それが何なのかまだ分からないけど、でも多分私の目標には必要な何かなんだと思う。

「まぁそれよりも先にポンズは、基本的な格闘術だね。避け方も投げ方も何処か慌しかったし、慣れてないでしょ?」

「う゛……う、うん。ごめんなさい」

「なんで謝るのさ? 最初から出来ないってわかってたから修行をしたかったんじゃないの?」

自分の不甲斐なさに申し訳なくなって謝ってしまった私に、 はそんな優しい言葉をくれた。
あぁ……駄目だ私。
いまちょっと他人には見せられないくらい顔がニヤけてるはず。

「さ、いくよポンズ。ゴンとキルアがエレベーター前で待ってるから」

「う、うん」

ぽんぽん、と が優しく叩いた肩が、なんか違う熱を持ってる感じ。
熱いんだけど不快じゃない、落ち着くような心地よさが……

「って駄目だ私。折角 がきちんと修行つけてくれようとしてるんだから、もっとしっかりしないと」

まぁ、これからいくらでもこういったトラップは出て来るんだろうけど……でも負けない!
この気持ちをはっきりとさせるのは、まだ先でいい。
いつか足手纏いを卒業して、それまで が私の傍にいてくれたら……その時は……

「あぁポンズ。言い忘れてたけどゴンやキルアと違ってポンズは格闘の基礎が不十分だから、多分二人の方が先に上がっていくはずだけど……めげちゃ駄目だよ? ちゃんと一つ一つ、僕と一緒に進んでいくんだからね?」

……あぁ、 …………っ!? ま、負けないもんっ!?



























さて、こうして始まった天空闘技場経験値アンドお金稼ぎの旅ですが……ゴンとキルアは僕の予想をはるかに超えた化物でした。

「「 には言われたくないっ!!」」

「あ、あはは……」

「自分にはキルアさん達と さんの化物具合を比べる事なんか出来ないっス。レベル違いすぎっス」

乾いた笑いをくれたのがポンズ、最後に肩を落としてそんな事を言ってたのは、50階で知り合ったズシ君です。
ちなみに現在ゴンとキルアは負け知らずのまま190階に突入。
このままいけば次はもう200階クラスという事で、前祝にゴンの部屋でお食事中となってます。
僕の奢りで、料理はルームサービスとデリバリーですけど。
で、ちらっと名前の挙がったズシ君ですが、なんとまぁ驚きの人と一緒でした。

「いやぁ、僕までお呼ばれしてしまってすみません、 くん」

「いえ、ビスケさんの所ではお世話になりましたから」

洋服の着こなせない中途半端なイケメン眼鏡男子、ウイングさんです。
ビスケさんことビスケット・クルーガーさんのお弟子さんで、地獄の特訓最多経験者の僕はよくお世話になりました。
皆僕とウイングさんが知り合いだって事に最初は驚いてましたが、今はすっかり馴染んでます。

「しかし くん、相変わらず頭回ってますね。まさか200階目前でわざと勝ち負けを繰り返して賞金稼ぐなんて真似、本気でするとは思いませんでした」

「いえ、別にお金を稼ぐのが目的って訳じゃないんですけどね?」

はい。
実は僕、まだ200階に到達してません。
180〜190階をうろうろしております。
というのも……

「うぅ……御免ね ? 私の所為で……」

実はポンズがまだ160階レベルで苦戦中なんです。
体術が一般レベルな彼女では、キルアの家で突然跳ね上がった自分の身体能力に頭がついていってないみたいで……ようするに自分の能力を持て余しちゃってる感じ。
今は試合をしながらそれをアジャストしつつ、体術の全体的な向上を図っている最中です。
でも生傷耐えないし、僕が課した課題を素直にこなしてるそんな状況で自分だけ上に上がるのは正直罪悪感に押しつぶされそうで留まってるんですけど……

「…………ほぅ?」

「…………ニヤニヤ」

「…………?」

「…………か、可愛いっス……」

正直、耐えられません。
ポンズみたいな可愛い娘に涙目で見上げられて、それでも放ってどっかいける人いたら出てきてください。
僕が、その性根を全力で叩きなおします。
あとそこ3人、うるさい。
特にズシ君、君は声に出てる。
ゴンはゴンで気にしなさすぎってのはどうなんだろうね?

「いや、ポンズの所為じゃないからさ? お金は必要なんだから稼げてるのはいいことだし……ね? それに前の試合は惜しかったじゃない。その調子で一緒に200階上がろう?」

「っ!? う、うんっ! 私、頑張るねっ!」

とまぁそんなこんなでポンズに皆やられてた食事会も終わり、皆のニヤニヤ視線を受けながらポンズを部屋に送った後……

「少しお話が……ご足労ですが私の宿まで来ていただけませんか?」

ウイングさんに呼ばれて、宿へ。
まぁ、話の内容は分かってるんですけど……

「実は僕、ゴン君の裏ハンター試験の試験官としてここに来ています」

まぁ、そうですよね?
心源流拳法師範代がこんなところに弟子の修行だけで来るとは思えませんでしたし。
で、話の内容ってのが……キルアとポンズの事。
恐らくキルアには素養もあるし、何よりゴンと一緒に200階に上がってしまいそう。
このままではただ殺されるだけだし、教えるしかないだろうと。
でもポンズはまだ少し余裕がある。
残念ながゴン達ほど天性の才能は持っていないようだし、ゆっくり起こしてあげたいけどそれじゃあ逆に時間が足りない。
そこでどうするか、って事に関してでしたが……

「念、という知識はゴン達と一緒に教えてあげてください。それから200階に到達するまでに出来るだけ念に身体を慣らしていって、190階に到達した時点で、起こす」

「ふむ……それしかないでしょうね? しかし彼女に関しては先ほども言ったとおり、ゴン君達ほどの天性のものは持っていません。ご存知のとおり習得してしまえばそんなものはいくらでも超えていけますが、それでも無理矢理起こしてしまうのはゴン君達以上に危険が伴います。それでも……いいんですね?」

「……はい。本当は僕を頼ってくれたんだし、僕が教えてあげたいけど……ウイングさんに任せたほうがいいのは目に見えてますから。僕は出来うる限り補佐します」

「……ええ、お願いします。彼女の念を無理矢理起こすとなるとそれは絶対に必要でしょうから」

そういった感じで話は纏まり、ズシ君の修行の邪魔をしてもなんなのでお暇しました。
そんなに長く話してたわけじゃないですし、僕の部屋でも良かったんじゃないかと思ってたんですけど……

「…………あ」

そんな僕に、その考えが良いのか悪いのか判断をしかねるような出来事が起きました。









それは……昔袂を別ったはずの旧友との再会。




















「…………ま、まさか………… 、なのかい?」















信じられないものでも見たかのような彼女のそんな表情を見て何とか気持ちが落ち着いた僕は、何とか笑顔を作る事が出来ていたと思います。

















「…………久しぶり…………マチ」


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