え〜、トリックタワーの中に入ったんですが……

「私はスパー。一応下に降りるまではよろしく」

です。よろしくお願いします」

僕は今、スナイパーなおねいさんと一緒に下を目指して歩いてます。










タワー×楽勝?×皆で遊ぼっ










「にしても 。アンタも彼女連れでハンター試験とはいい根性してるわね」

スパーさん。
サングラスかけてた時はちょっと分からなかったけど、外したら普通に美人さんだった。
そこそこ暗いしね、ここ。
クールそうな印象だったのに、話してみると結構気さくな良い人。
良い人、だったんだけど……

「スパーさんもそれですか? 違いますよ。ポンズはここに来てから出来た友達です」

なんかクラピカ達といい、なんでそんなに人をくっつけたがるかなぁ?

「そんな事ポンズには言わないで下さいよ? 僕なんかと誤解されたら可哀想じゃないですか」

「……はぁ?」

「……なんですか? その呆れたような声は?」

「呆れてんのよ」

何にさ?

「はぁ……まぁいいわ。それより……」

お? なんか扉がある。

「やっと何か始まるんですかね?」

「だといいわね。貴方と肩を並べて歩くのはそれなり魅力的だったけど」

そう言って微笑むスパーさん。
綺麗な笑顔だけど……でもその笑い方は僕をからかってる笑い方だ。

「こちらこそ。友達が増えて嬉しいです」

だからお返し。
精一杯笑顔でそういうと、スパーさんは……? どうしたんだろ?

「…………な、なんて笑顔するのよ…………」

目を逸らされちった。
なんかちょっとショックだなぁ。仕返しなんてしなきゃ良かったかな?

「え、えと……そ、それじゃあ行きましょうか?」

あ、良かった。さっきまでと一緒だ。

「ええ。行きましょう」

だから僕は安心して扉を開けた。
さっさと先に進みたいしね。










トリックタワーの入り口を見つけて中に入ったら、もう一人来るまで進めないように出来てた。
仕方ないから待ってたんだけど……

「案外早かったわね……ん? あら、貴方なの?」

意外に早く降りてきたのは247番。
くすんだ紺の長めの髪と紺色の瞳の、少し中性的な感じの優しそうな印象の彼だった。
1番違いのピンク色の服の女の子と一緒にずっといた彼。
だからその事でからかってみたら、あっさり否定された。
それどころか、

「そんな事ポンズには言わないで下さいよ? 僕なんかと誤解されたら可哀想じゃないですか」

なんて言い出す始末。
まったくこの男は……
そんなに自身があるわけじゃないけど、あのポンズって娘はコイツに友人としての好意以上の気持ちを持ってる。
私にも分かるほどあれだけ一緒にいるわけだし、他の男達、ツンツン頭の子供とかとは態度が違う。
え? なんでそんなに見てるのかって?
そりゃここまで残ってる女はそう多くないからね。
と、そんなこんな話しながら歩いているうちにようやっと扉が見えてきた。
やっと本格的に試験開始かしらね?

「やっと何か始まるんですかね?」

彼、 も扉に気が付いたみたい。
でも、彼の態度は全く変わらない。
ちょっと癪ね。私だってこれでも結構緊張してるのに。
だから、

「だといいわね。貴方と肩を並べて歩くのはそれなり魅力的だったけど」

ちょっとからかうだけ、ね?
だって、一応ここにいる間は相棒って事になるのに私だけ緊張しているって、不公平じゃない?
でもそうしたら……

「こちらこそ。友達が増えて嬉しいです」

見事に切り返されたわ。
それはもうものの見事に。
こ、コイツ、鈍いクセにからかわれ慣れてる。
しかも女の、自分で言うのもなんだけどそこそこ美人だって自信はある私の目から見ても“綺麗”と思わせるような笑顔付きで。
……ま、マズいわね。
なんかこの男、惹き寄せられるわ。

「え、えと……そ、それじゃあ行きましょうか?」

なんとか誤魔化しては見たものの、多分私の顔は今真赤なんだろう。
まぁ……いいわ。
私はスナイパー。
私が狙うほどの価値のある男か、じっくり見極めさせてもらいましょう。











まぁ、そんなこんなで下にたどり着きました。
正直関門ってほどのものなんかなかったし、割と楽な道だった気がしたんだけど……

「……大丈夫ですか?」

どうやら僕限定の話?
ってかたぶん僕、シルフィーとか、たまにジンとかネテロじぃとか極稀にビスケとかにとにかく修行させられてたから……
あぁ……なんか考えたらもう自分が普通の人間じゃなくなってる気がする……
なんかちょっと鬱だなぁ……
あ、ビスケってのはビスケット=クルーガーって女の子の姿のおば…じゃなくて御婦人です。
ネテロじぃの知り合いで、一度会ってから偶に遊びに来ては修行つけてってくれるんだよね。
って、そんな場合じゃないか。

「あ、アンタ……何者よ?」

「い、一応スパーさんと同じ受験生なんだけど……」

「な、なんか……自信なくなってきた」

あの扉を空けた僕等を待ってたのは、大勢の死刑囚さん達でした。
なんか僕等を殺せば刑期が大幅に短くなるって言われたらしいんだけど……

「大体……一人一人は弱いって……言ったって……あの人数は……ないでしょう?」

……いやまぁ……見渡す限り人って死刑囚さんってのは僕も経験ないけど……

「しかもそれ……相手にして息、も……乱れないなんて……」

……よ、弱かったんだよ? ホントだよ?

「ま、まぁとにかく。 僕達結構早かったみたいだし、休んでくださいスパーさん」

「い、言われなくてもそうするわよ」

そう言ってズルズルと壁にもたれかかったスパーさん。
そういえば持ってるライフルもスナイパー仕様だし、きっと近接の持久戦は辛かったんだろうなぁ。
ずっと僕のフォローしてくれてたし。

「あ……」

「?」

「連れて来てくれて……ありがとうね、

「あ、いえ。援護ありがとうございました」

「ふっ。必要なかったくせに」

あ゛……バレてた? 全員倒すのに無理ない程度限界まで力抑えてたんだけど。

「まぁいいわ。お礼してくれてるんだから、素直に喜んでおく」

「是非そうしてください」

それで僕は、程なく寝息を立て始めたスパーさんから離れました。
え? だって女の人って、寝顔見られたくないんでしょ?

「……やあ★」

……離れなきゃ良かった。

「ヒソカ、だったよね? こんにちは、僕は 。それじゃ」

即退避!
はにげだした!

「まってよ◆」

しかしまわりこまれた!

「……何? ここで殺り合おうとかってのは無しね。後それとは別の意味の“ヤる”も勘弁して。僕普通に女の子が好きだから」

「それは残念★」

げっ!? こ、コイツ本気で両刀!?
よ、よかったぁ〜。流星街にいる時にコイツにあわなくて。
あってたら……多分逃げられなかっただろうなぁ……

「今は諦めるよ◆」

出来れば一生諦めて?
……あ、そうだ……

「ヒソカ」

「ん?」

「話、って言うかがあるんだけど……」

正直コイツに頼み事はしたくないなぁ。

「タダは嫌★」

やっぱり。
でも僕だって自分の身体差し出すわけにはいかない。
何度も、何度でも言うけど、僕がそういった事をしてたのは生きる為であって、僕の趣味じゃない。
あ、そうだ。

「ヒソカ、強い人と戦うのは好き?」

「もちろん★」

あ、即答した。
よしっ。それなら……

「ハンター協会の会長、つまりさっきのじいさんの携帯の番号とホームコード。もちろんプライベート用のね」

「?」

「僕の頼み聞いてくれたら両方教えたげる。そしたら後はヒソカの努力次第で戦う約束でも何でもつけられるでしょ?」

「……それは魅力的だね◆」

お、かかった!
でもまだちょっと弱いかな? よし、あと一押し!

「よしっ! ついでにネテロじぃの家……はさすがにマズイか。じゃあ協会のオフィスの直通電話の番号もつけよう。プライベートで無視出来ても仕事のほうにかかってくる電話は無視できないからね」

これでどうだっ!?

「う〜ん……わかった。まぁ頼みしだいだけど、オッケーだよ★」

うしっ!

「で、なんだい?」

「あ、えっとね。湿原で会った三人は覚えてるよね? あの三人と……99番だったっけ? 銀髪の少年。後246番と、今僕と一緒に来た80番の女性二人。もしこの先戦う事になっても、この六人を殺さないでほしいんだ」

「なんでさ◆」

「友達になったから」

だから、死んで欲しくない。
ヒソカは多分、敵として向かってきたら容赦しないだろうから。
だから、打てる手は打つ。

「ん〜でもさ。それじゃ僕以外は殺せちゃうよ★」

「大丈夫。たぶんヒソカ以外に実力で皆を殺せそうなのは……あの人くらいだから」

301番の人。
顔中針だらけのあの人も、実力はヒソカと遜色ない感じがする。
後はあの人を何とか止められたらいいんだけど……言葉通じるのかな?

「ボクの条件、呑んでくれたら彼に頼んでもいいよ◆」

「えっ? ホント?」

ラッキー♪ ヒソカって危ない奴だけど意外に良心的?
そういえばゲイの人って性癖気にしなければ結構優しくて楽しい人が多いし……

「……今ちょっと失礼な事考えなかったかい★」

「イヤイヤトンデモナイヨ? ありがとうヒソカ。それで、条件って?」

「ボクとヤリあ…「却下。感謝の言葉を撤回する」…ってのは冗談◆」

コイツ……殴ってもいいかな?

「クククククッ……まぁまぁ、そんなに怒らないでよ★ 我慢出来なくなっちゃうじゃないか◆」

「……ゴメンナサイ。で、条件は?」

「暇だからトランプ付き合って★」

…………はい?

「カレと二人じゃイマイチ盛り上がらないんだ◆」

そう言って顔中針男さんを指差すヒソカ。
なんだ。そんな事でいいのか。
それなら最初からそういうレベルの条件で交渉すればよかったよ。
……まぁ、ネテロじぃがヒソカにストーカーされたって僕の良心は痛まないけどね?
ネテロじぃ強いし。

「ん、わかった。 じゃあそういう事でお願いするよ、ヒソカ」

「オッケー★ ちゃんと言っておくよ」

「いう事聞いてくれなかったらヒソカが止めてよ?」

「わかったわかった◆ ちゃっかりしてるねぇ★」

「当然」












ってなわけで、僕は暫くヒソカと301番のギタラクルさん(多分偽名。それに変装だなぁ、あの人)とトランプに勤しみました。
途中スパーさんが目を覚まして、ポンズもクリアして来たんだけど、誘おうとして視線向けたら力一杯目を逸らされた。
……グズッ……たしかにこの二人は念の使い手だから皆からは異質に見えるだろうけどさぁ……
僕だって延々と三人でトランプってのは結構キツいんだよ?
半分くらい時間潰したところでギタラクルさんが休むって言い出して、ようやっと終了。
解放されて離れたら、

「ほんっとうにゴメンなさいっ! !」

とたんにポンズがよってきて力一杯謝ってきた。
多分目を逸らした事をずっと気に病んでくれてたんだなぁ……ホントいい娘だ。
視線を感じてそちらを向くと、スパーさんもサングラスとって両手を合わせていた。
口元が“ゴメンなさい”って動いてたし、スパーさんも気にしてくれてたんだ。

「いいよポンズ。たしかにあの二人、他の受験生達とはちょっと違った感じがするもんね」

だから僕も、今回は何も言わないどこっと。
仕方なかった気はするし、謝ってくれたのは嬉しいし。

「それよりちょっと眠くてさ。となりで寝させて?」

まぁ……正直ホントに結構眠いんだよね。
スパーさんの気持ち良さそうな寝顔に始まって、耐久戦みたいなトランプ勝負。
やっと解放されたんだから……あぁ……だ、だめだぁ……
ポンズが謝ってくれて嬉しかったから、一気に気が抜けた。
もう…………ホントに……………………眠いや………………………………

「お……やす、み……………………ポンズ……………………」

意識が完全になくなる直前、僕はポンズの言葉を聞いた気がした。

「お休み、











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