どうやら一次試験はただひたすら走る試験らしいよ?
ま、とりあえずは試験官のサトツさんって人を見失わなければ大丈夫っぽいし。がんばろっと。











走って×教えて×過去話













ポンズと走ってたらスケボーに乗った少年が追い抜いてった。
と思ったら、

「おいガキ! 汚ねーぞ!」

すぐ前を走ってるお兄さんが文句言ってた。

「そりゃ反則じゃねーか、オイ!!!!」

がなってるお兄さんに対してスケボー少年は結構冷たい目を向けながら平然と何故、と聞き返している。

「試験官さんはついて来いっていっただけでどうやってとは言ってないよ、お兄さん」

「あ、 さん」

ポンズがちょっとびっくりしたような目で僕をみてる。
あ、しまった。思わず言っちゃったよ。

……まぁ言っちゃったもんはしょうがないでしょ?」

そう言って僕が彼らに追いつくためにスピードを上げるとポンズも苦笑しながらついてきてくれた。うん。やっぱいい娘
とりあえず文句つけてたサングラスのお兄さんと、そのすぐ横を走ってる金髪の男の子(たぶん)の横までいって、

「余計な事言っちゃってごめんね。僕、 って言います」

とご挨拶。

「私はポンズ。よろしく」

あ、ついてきた。付き合ってくれなくても良かったのに。

「俺はレオリオだ」

「私はクラピカという。よろしく、 、ポンズ」

「ってゆーかお前等二人についちゃまったく知らないって訳でもないんだけどな」

「え? どういう事ですか? レオリオさん」

ポンズと顔を見合わせて首を傾げる。だって……僕達なにかしたっけ?

「おっと。その前にそのレオリオさんってのやめてくれ。敬語もなしだ」

「私もそうしてくれると助かる。そちらだけそうしていると此方が無礼のようだろう?」

なるほどそのとおり。まぁクラピカは間違いなく年下だろうし、そんなに気にすることでもないか。
僕が了承の意を込めて首を縦に振るとポンズが、

「で? なんで私達の事知ってるの?」

と改めて聞きなおしている。

「試験開始を待ってるって言うのにあんなにほのぼのされては嫌でも目に付くだろう」

「まったくだ。カップルでハンター試験受けに来るなんてどういう神経してんだよ」

………………………………
へ?

「なっ?! ちょ、カップルってそんな……!」

「あれ? 違ったのか? それにしちゃ随分と仲良さげだったと思うぞ?」

何言ってんのレオリオ?! そんな事言ったらポンズが困っちゃうでしょうが!?
あ〜もうポンズ赤くなっちゃったよ、もう。

「仲良くなったのはここに来てからだよ。友達になったばっかり」

僕がきちんとフォローを入れておく。
やっぱり勘違いされたままだとポンズが可哀想だし。
どうやら二人とも納得してくれたようで、僕とポンズに謝罪してくれた。

「で、ポンズさん? そうとわかればもしよければ俺が……

「ごめんなさい

レオリオ玉砕。
ポンズも容赦なく即行。満面の笑みのおまけつきだし。
あ、クラピカ呆れて前走ってっちゃった。あ〜あ、またね〜。
















その後レオリオ達と走ってたゴンと、スケボー少年のキルアとも知り合って一緒に走った。
途中レオリオが挫けかけたけど気合と根性で復活してた。本当に凄いよね。
それでなんとなくレオリオと走ってたら階段のぼりでクラピカに追いついたんだけど……

「レオリオ、ハンターになりたいのは本当に金目当てか?」

なんか重そうな話題を振ってますよ? クラピカ君てば。
僕もポンズもいるんだし、ちょっとは場をわきまえて欲しいけど……まぁいいや。ちょっと興味あるし。
視線でポンズにどうする?って聞いてみたら恨めしそうな視線を向けられた。

「なんで、涼しい、顔して、走ってんのよ?」

……生活環境がらこうなった」

他に答えようがないのでそう答えると、ポンズは走ることに集中しだした。疲れるってだけで体力的にはまだまだ大丈夫そうだね。

「緋の目」

なんてポンズとやってたらいつの間にかクラピカが話し出した。
たぶん自分の動機を先に言って教えてもらおうって事らしい。
その話を聞いた瞬間、僕は一瞬気が遠くなるのを感じた。

『幻影旅団』

クラピカの一族を根絶やしにして目を奪っていった奴ら。
あいつ等……だから俺は反対したんだ。そんな……世界7大美色かなんか知らないけどそんな事の為に人を…………一民族を根絶やしにしようなんて!

?」

はっ?!
気がついたらポンズが心配そうに僕の顔を覗きこんでいた。

……ごめん。ちょっと考え事してただけだから」

どうやらほんの数秒しか経っていなかったらしい。
クラピカは仲間の目を集め、幻影旅団に復習するためにハンターになるのだと言っていた。
そんなクラピカに触発されたのか、レオリオ少し感情的になりながらも話してくれた。

「俺の友達は金があれば助かったんだ! 法外な手術代が払えれば死なずにすんだ! 俺は単純だからな。医者になろうと思ったぜ。いつか俺の友達と同じ病気に掛かってる子供を治してやって金なんかいらねぇってその子の親に言ってやるのが俺の夢だ! そのために金が必要なんだよっ! 俺が今までみた事もないような大金がなっ!」

……
なんて優しいんだろ。力強い意思が肉体を凌駕できるタイプの人間。

「レオリオは間違いなくいい医者になるよ。だから、頑張って合格しよ」

気がついたら口から滑り出るように出てきた言葉だったけど、レオリオは照れくさそうに礼を言ってくれた。クラピカもポンズも笑って同意してくれた。
ああ、やっぱ友達っていいもんだなぁ。
な〜んて思ってたら、

。お前はどうなんだよ? なんでハンターになろうと思ったんだ?」

案の定話を振られちゃった。

「あ、ちなみに私は幻獣ハンターって仕事に興味がわいたから。あと詳しくは言えないけど自分の技術を生かすにはライセンスを持ってるほうが都合がいいからよ」

あ、ポンズめ。話振られるの分かってて自分からちゃっちゃと言ったな。僕に話をふられてる最中だから突っ込んで聞かれないと思って。
でもまぁ、僕だけ言わないってのはずるいよね。友達として。

「僕はね、りゅ……じゃなくてスラムの出身なんだ」

あぶないあぶない。危うく流星街って言いそうになった。

「9歳までそこでショタ趣味のおじさんお兄さん相手に一人で美人局しながら暮らしてたんだけど……

「つ、美人局」

「そ、それはまた……

……ドキドキ

……
あの、ポンズさん? 何を期待なさってるので?

……そ、それでそれまでずっとそうやって金盗んだり奪ったりして暮らしてたんだけどさ。虚しくなったんだよね。僕には盗んだり奪ったりすることしか出来ないのかって。それで僕はそれまでの仲間達から離れて一人でスラムを出たんだ。そしたらハンターの人に出会ってね。それからその人やその人の周りの人達にも助けてもらって、それまでとは正反対の仕事……護衛とか警護とかそういうのして暮らしてきたんだ。だから正確には僕はもうハンターの仕事してるんだ。ライセンスは……あえて言うなら僕がきちんと盗むでも奪うでもなくきちんと生きている証が欲しかったのかな?」

あぁ喋った喋った。ここ最近で一番喋ったかも知れない。
…………
ってあれ?

……どしたの皆?」

なんか空気が重いよ?

「どうしたって……なぁ?」

「自分の志望動機がものすごくちっぽけなものに感じてきた」

さん……グスンッ」

ってうわ?! ポンズ泣いてる! な、なんで?! っていやそうじゃない。

「と、とりあえずこれで涙拭いてってああいいやそのまま走ってて?!」

僕はもうどうしていいか分からずに慌てて持ってたハンドタオルでポンズの涙を拭いてあげる。

「よし、もういいよ。ごめんね皆。ちょっと重かったかな?」

ほんと空気読もうよ僕。

「いや。そこまで話してくれて嬉しかった。私は貴方とは良き友人になれそうだ」

「俺もだぜ。改めてよろしく頼む」

「私はもう さんの友達だからね?」

「うん。ありがとうクラピカ、レオリオ。ポンズはそう言ってくれるならそろそろ敬語抜きにして話してくれるかな?」

そう言うとポンズはちょっと躊躇いながらもちょっと頬を染めて了承してくれた。うん。ホントいい娘

「そういえばなんだけどな。 っていったい何歳だ?」

「ん? 僕? もうちょっとで21歳だけど?」

「嘘だろっ?!」

「れ、レオリオより年上か……てっきり私と同い年くらいかと思っていた」

あ、僕ってそんな幼いかな? まぁ皆とそんなに変わらないんだけどさ。それにもう皆友達だから細かいことはいいや。
これで友達三人も出来たゴンとキルアも友達になってくれるかな?
そんなこんなで階段も上りきって真っ暗ひたすらダッシュは終了らしい。らしいんだけど……


























やっと光の下に出たと思ったら…………
すっごい不気味な湿原が目の前に広がってるなぁ…………





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